この絵はピエール・オーギュスト・ルノワール(1841年〜1919年)の39歳の時の作品です。何故、私がこの絵が好きか?というと、この絵をみると、懐かしくなるからです。この絵は、私が物心つく前から実家の洋間に複製画が飾られていました。
私は3人姉妹で、小さい頃、「お姫様ごっこ」「かくれんぼ」「歌手ごっこ」よく姉妹で遊んだものです。遊び疲れて、ごろんと横になるといつもこの少女の絵が私を見下ろしていました。「奇麗だな〜,白人の女の子って、こんなに髪の毛をのばして、ドレス着て、皆優雅なんだろうな〜」とおかっぱ頭の私は長い髪の毛のルノワールの少女に憧れたものです。
私が髪の毛をのばしたいと言うと、親は「ほうとくない!(みっともない)」と言って許してくれませんでしたから。ばりばりの「さざえさん」の「わかめちゃん」カットを強制されてました。とほほ・・。
その絵が飾られてある洋間はステレオが置いてあり、学生になるとレコードをよく聞いていました。時々はクラッシックを聞きながら、上を見上げると、この少女の絵が私を見下ろしているのです。私にとって、ヨーロッパの象徴(勝手な想像だけの世界)はまさにこの少女でした。そして、高校生になって、美術部に入部すると、この絵がかの有名な、ルノワールの絵だということを知りました。「わー、こんな写真みたいな絵、どうやって描くの〜。」と思ったものです。後になって、ルノワールは印象派の画家で、写実的に描く画家とはちょっと違うということを知りましたが・・。
私が18歳になって、高校を卒業し実家を離れる時期だったと思います。この絵が何かのひょうしに突然壁から落ちたのです。額から外れた絵はもう色が日光で薄くなり、絵は安っぽい薄い紙でした。父に絵をどこで買ったか聞いても「昔のことだから覚えてない。」との返事。額のガラスがばらばらに砕け散ったので捨てることにしました。洋間の壁からこの絵がなくなった時、部屋がひどく寂しくなり、何かが足らなくなった感じがしました。この絵をごみ箱に捨てる瞬間、色が薄くあせた少女の顔、薄い紙の感触、今でも鮮明に思いだします。。
それから7年後、フランスのオルセー美術館に行きました。ルノワールの代表作が所せましと何点も並んでいました。「あの、少女の絵があるかもしれない・・!」胸をドキドキしながら、再会を期待しましたが、残念、ありませんでした。今でもルノワールの画集でこの絵を見ると、何にも知らなかった少女だった頃の自分と、あの洋間で私を見下ろしていた少女の顔を思い出し、胸がせつなく懐かしくなるのです。
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