この絵は、ロシアの画家、イリヤ・エフィーモビチ・レーピン(1844年〜1930年)が描いた「クールフ県の十字架行進」です。この絵を初めて画集で見た時、びっくりしました。
土の色、空から照りつけられる太陽によって作られる人の影、光の反射、群集の周りの砂ぼこり、群集の一人一人の容貌、あまりにリアルな為に私の目の前にこの光景が存在するような錯覚に陥ったからです。「この絵は、本当に今から120年前にロシアで描かれたものなんだろうか?私はこの土の色、砂ぼこり、人の影、見たことがある。そうだ、私が地元で見た色だ。この道も(山口県H町)田舎の農道みたい。祭り風景・・・どこか似ている・・。」土、砂ぼこり、人の影、光の反射、120年前の外国といえど、同じ地球、そりゃ似てるのは当たり前なんですが・・。
一人一人の顔の描写、存在感、性格、今考えてることまで伝わってきそうです。写真家の人には悪いですけど、下手な写真より生々しい現実性。絵というのは、一筆一筆の手作業だから、魂がこもってるというか、描いた者の心の眼になりきって見えるような気がします。最近の警察の犯罪者の指名手配もモンタージュじゃなくて、手作業の似顔絵のほうが犯人に似てるっていうし。今にでも、人々の声まで聞こえてきそうなこの真にせまる絵、実物がとても見たいんです。
レーピンの他の絵も、みなリアルで、物語性が強く、魅力あふれるものばかり・・・でも、特にこの絵に惹かれます。西洋絵画とは、どことなく雰囲気の違うレーピンの絵・・。ロシアの民族衣装のせいでしょうか?この絵がある場所は、モスクワ、国立トレチャコフ美術館・・。旅行会社のチラシにも、あんまりロシアのパックって、見た事ないから、たぶん行くとしたら、お金が高くつきそう・・。でも、いつかはこの絵に出会う日がくるのを信じて待つことにします。